第13回掣圏真陰流大会・単独戦 2007年12月20日 (木) 東京水道橋・後楽園ホール 興義館主催 試合方式 一、前半戦が終了した段階で一旦判定を行い、 優勢を公表、後半戦の優勢と併せて勝敗を決する。 一、前半戦と後半戦で優勢が異なる場合は、より良い内容で優勢であった者の勝ち (同じ内容であった場合は引き分け) とする。 (スタンド/グラウンドに於ける積極性) < (極めによるダメージ) < (投げによるダメージ) < (打撃によるダメージ) ※これ迄も判定の公正を期し、その場その場で判定理由を公表して来たが、これによって、より公正さが増すであろう。また、前半戦劣勢であった者は、後半 戦、後れを取り戻すべく、積極的に戦う様になろう。 単独戦用判定用紙 (転載・転用を禁ずる。©掣圏真陰流審判団) 結果 掣圏真陰流単独戦 (前後半5分) 赤加藤 誠 (陸奥/掣圏士)○ 対 青加 藤秀朋 (伊豆)× 一本 (前半戦3分16秒) ※裏十字固め 【解説】打撃の牽制から加藤秀朋選手がタックルで倒し (「掣圧」宣告)、ガード・ポジションの加藤 誠選手にスウィングさせてのパンチを当てるも、赤コーナー際であった為、また誠選手が下から秀朋選手の動きを封じ込めた為、「待て」を掛ける。その後、スタンドで誠選手が強いパンチで秀朋選手をのけぞらせるも、秀朋選手もジャブ、ストレートで応戦、誠選手が一瞬床に膝を付くが (「打倒」宣告せず)、そのまま倒しに行く。その後、打たれた秀朋選手も一瞬膝を付くも (「打倒」宣告せず) タックルで誠選手を投げ落とし、パンチを振るう (「掣圧」宣告)。すかさず誠選手が下から素早い仕掛けで腕を取り、そのまま裏十字固めの態勢になる (「掣圧」宣告)。当初は肘の角度が悪く極まっていなかったが、徐々に肘が伸びて来た為、秀朋選手に「ギブ・アップか」と訊くも応答無し。そこで「止めるぞ」と予告、タッ プしようとした為、「一本」を宣告。 【備考】審判長評定・清水 裕氏の感想は「積極的に距離を詰め、組み合う内容に好感が持てた。レスリング系と打撃系の理想的な融合と映った。欲を言えば、三本勝負くらいにして (関節技は早く止めて) 続きを見たかった。たまたま極まってしまったのか、実力を反映しているのかは一本勝負で判るのか」、同じく評定・早川英介氏の感想は「打撃、グラウンドでの攻防両方が生かされた良い試合だった。膠着状態が殆ど無 く、両選手とも積極的に”勇気を以って”戦っていた。もっと見たかった。『掣圧』の宣告は選手、観客への状況説明という意味合いでも大事だが、張り詰めた 緊張感の中、宣告はアクセントになっていたし、試合に良いテンポを与えていた」というものであった。今回より、相手を抑え込み、パンチ を打つ、または関節を極めに掛かっている時は「掣圧」を宣告し、「待て」を掛けるのを若干遅らせる事とした為、躊躇せずに関節技を仕掛けられる様になった と思われるが、とは謂え、極まりが浅い状態が続いた場合は一旦「待て」とした方が良いだろう (たまたま極まっても、それは実力あったればこそと思う)。 また、清水氏は試合前の儀式に関して「説明的に過ぎると『過ぎたるは猶及ばざるが如し』となる。学術論文でも当事者の思い入れがあると、どうしても切れない部分が増えて来 るのは否めない。しかし、今回、儀式によって一度 (他の試合で) 盛り上がった熱気が冷めたという一面がある。『早く (試合を) やれよ』という観客の声には『熱気が冷めるぞ』という叫びが込められていた様に思う」とも述べた。 今回、審判団は「今回は単独戦でもあるので、(武てい式や) 試合役員の紹介、新ルール説明 (『掣圧』『打倒』宣告) (「掣圏真陰流とは (8)」) は省いた方が良い」「第1試合前に予めロープ結束をしておいて時間短縮を図りたい」と提案したが、大会進行係からは「試合役員の紹介や新ルール説明は観客 に掣圏真陰流及び試合をより良く理解して頂く為に従来通り実施した方が良いのではないか」「第1試合 (他の試合) でも多少のロープ・ワークは行うだろうから、終了後にロープ結束をお願いしたい」と要請された為、それは全くその通りであるので、従来通り実施した。しか しながら、やはり言葉を尽くして説明するよりも、選手の礼儀正しく勇敢な戦い様や審判員の斬新で厳粛な試合裁きを見 せるだけの方が却って掣圏真陰流を雄弁に物語るであろうし、武士は本来多くを語らないものであろう。また、武てい式は本来、合戦前に秘して行うべきもので あって、人様にお見せするものでは無いかも知れない。そこで、今後は、 (1) ロープは大会前や休憩時に結束し、掣圏真陰流の試合は第1試合か休憩明けに行う、 (2) 武てい式は大会前のルール・ミーティングで行う、 (3) ルール説明が必要な場合はリング下でリング・アナウンサーに手短かに話させる 事を大会翌日、大会進行係に提案した。 今回、「セコンド (介添人) に対する注意」が徹底され、「リングは神聖清浄な場ゆえ、リング に立つ事があるチーフ・セコンドは正装 (スーツ着用) して着陣」「試合前後の礼の際、セコンドも選手に合わせて一緒に行う」「太刀の受け渡しは両手で頭 (こうべ) を垂れて行う (捧げ持つ)」が行われたのは幸いであった。 審判団控室で胴着着付係に着付けて貰った、 左、加藤 誠選手 右、加藤秀朋選手 (介添人の大原友則・スーパータイガージム東海代表) 新ルール説明で の小林、光江両副審による演武 上から、光江副審のロー・キック、右フォロー・スルー (「打倒」宣告)、止 (とど) め (「一本、それまで」)、小林副審の投げ (「掣圧」宣告)、関節技 (「一 本、それまで」) 試合前の 礼 上、「互いに礼」 下、「分かれて」太刀を捧げ持ち、介添人 (セコンド) に預ける 加藤秀朋 選手のタックルからの「掣圧」 加藤 誠選手の強い左フックがヒット 加藤秀朋選手の真っ直ぐ伸びる左ストレー ト (上) と打ち下ろしの左 (下) で加藤 誠選手の膝が床に付く (直ぐに立ち上がった為、「打倒」宣告とはならず) 加藤 誠選手の左フックで加藤秀朋選手も膝を付く 加藤秀朋 選手も直ぐに立ち上がってタックルで投げ落とし、「掣圧」 加藤 誠選手が殴られていない方の左腕を掴み、裏十字固め、「掣圧」「一本、それまで」 試合出場選手への通達 ※
写真は
全てビデオ判定用の審判団ビデオからのスナップ・ショット (撮影・ 早川英介 (掣圏真陰流審判団審判長評定))
※※写真・文 小方審判長 2007年10月7日 (日) 愛知県知多市・知多市民体育館柔道場 スーパータイガージム東海・格闘塾主催第4回若虎杯 ■第5試合 掣圏真陰流 (普及型規則) 模範試合 (3分) 赤加藤秀朋 (伊豆/スーパータイガージム三島しらせ・興朋館)○ 対 青田中 淳 (尾張/スーパータイガージム東海・格闘塾)× (参考) 一本 ※V1アームロック ※副審・光江一之 副審・大原友則 (掣圏真陰流評議会) 主審・小方康至 【解説】加藤選手が再三に渡って投げ、倒しから相手を 抑え込み、腕十字固めを狙う展開。抑え込むと、今回初めての試みとなる「制圧」が宣告され、その後の関節技等々、一連の攻撃が止まるまで「待て」となら ない。田中選手も良く防御し、反対 に上になるも、その後の攻めが無く「待て」。後半、田中選手のパンチが当たり、加藤選手の動きが一瞬止まるが、猶も果敢に倒しに行き、最後はV1アームロッ クで「参った」を奪う。「制圧」宣告がグラウンドでの関節技による攻撃を充実させる一戦となった。試合後、加藤選手の右目の瞼 (まぶた) が腫れ、田中選手が与えた打撃によるダメージを物語った。加藤選手はアマチュア・レスリングで昭和62年度沖縄国体二位、平成18年度全日本社会人マスターズ優勝、田中選手は日 本拳法経 験者。この試合は恒例の掣圏真陰流大会・勝ち抜き戦の 地方選抜を兼ね、加藤選手は更に試合経験を積み、出場を目指す事になる。 【備考】籤 (くじ) で陣地を決める「武てい式」が執り行われ、赤、加藤選手に備前長船長光 (模造刀)、青、田中選手に長曾禰虎徹 (同) が与えられた。選手は兜 (ヘッド・ギア)、膝当て (ニー・パット)、脛当て (シン・ガード) を着用した。また、グラウンドに於ける打撃は寸止め、試合時間は3分、それ以外は正規規則に準じた。この様に選手の健康と安全に配慮する以外、規則を同一 としたのは、全日本キックボクシング初代バンタム級王者の大沢 昇 (藤平昭雄) 先生の「格闘技にプロもアマチュアも無い」との御言葉による。大沢先生には「一番いい教育は武道をやらせる事」とも伺った。 袴を着け、股立ちを取った両選手 (左、加藤選手、右、田中選手) 武てい式に於ける賜太刀、田中選手に長曾禰虎徹の脇差 (模造刀) が与えられる。 正面、並びに佐山創始に礼、選手は武士らしく目線を切らない 帯刀して、互いに礼 「組む前に打つ」加藤選手の左ストレート 「制圧」宣告後、加藤選手が満を持して腕十字を狙う 加藤選手の裏十字狙いを潰し、田中選手が上になった所で「待て」、加藤選手の「制圧」は解除された。 ※写真は
全てビデオからのスナップ・ショット (撮影・ 青山範子 (スーパータイガージム東海・格闘塾))
※※写真・文 小方審判長 |
掣圏真陰流第12回大会・勝ち抜き戦 2007年9月21日 (金) 東京水道橋・後楽園ホール 参加選手 武州 高橋良明 (初出場) 上総 米澤重隆 (初出場) 遠江 小笠原 均 (初出場) 上州 滝沢 充 (第3・7・9・11回大会優勝) 試合組み合わせ 第一試合赤 (決勝戦赤) 高橋良明 第一試合青 (決勝戦赤) 小笠原 均 第二試合赤 (決勝戦青) 滝沢 充 第二試合青 (決勝戦青) 米澤重隆 ※試合前の「武てい (示へんに帝) 式」におけるくじ引きによる (主催者の意向を排し、公正を期す為)。 武てい式に於ける賜太刀、高橋選手に和泉守兼定 (模造刀) が、小笠原選手に長曾禰虎徹 (同) が与えられた。 結果 優勝 高橋良明 準優勝 滝沢 充 ■1回戦第1試合 (5分) 赤高橋良明 (武州)○ 対 青小笠原 均 (遠江)× 判定3-0 ※副審・小林 彰:高橋 (投げによるダメージ) 副審・光江一之:高橋 (スタンドにおける積極性) 主審・小方康至:高橋 (打撃によるダメージ) (参考) 主審補・高橋 潤:高橋 (スタンドにおける積極性) 【解説】小林副審、光江副審ともに高橋選手の相手を背中から 落とす投げを評価、特に近くで見ていた小林副審はダメージを認めた。小方主審は高橋選手の制圧後の加撃を、もう少し続けば一本としようとしていた事から、 また、相手の顔の腫れからダメージと評価した。参考までに客席から見ていた高橋主審補は高橋選手の投げ、倒しを評価した。 【備考】判定は、打撃によるダメージ (グロッキー、カット) を最高の評価とし、次に相手を頭から落とす投げ、最後に、極めによるダメージを評価する。ダメージが無い場合、スタンドに於ける積極性 (ボクシング、レスリング) か、グラウンドに於ける積極性 (テイク・ダウン、ポジショニング、キャッチ) を評価する (試合出場選手に対する注意)。即ち、 (打撃 > 投げ > 極め) ∨ (スタンド ∨ グラウンド)
である。ここで、「ダメージ」の優先順位は「死に体」の程度に基付いて「打」「投」「極」に範疇化し、「積極性」は「スタンド」と「グラウンド」の二局面 に分類した。 高橋選手の投げ、掴みがあればこそ。 高橋選手の制圧後の加撃、出来るだけ早く相手を制圧し、止めを刺さなければならない。 ■1回戦第2試合 (5分) 赤滝沢 充 (上州)○ 対 青米澤重隆 (上総)× 一本 (2分36秒) ※打倒 (テクニカル・ノック・アウト) 【解説】米澤選手が相手を制圧し、加撃したものの、止めを刺 すには至らなかった為、待てとした。中央から試合再開後、滝沢選手のパンチにより米澤選手が倒れ、直ぐに起き上がったものの、体勢を崩した所に滝沢 選手が加撃した為、勝負あったと判断、小方主審が試合を止めた。 【備考】当初、両選手ともに牽制が続いた為、一旦試合を停 め、「出来るだけ早く、相手を制圧せよ」と警告した。その直後、米澤選手が組みに行き、相手を倒すに至った。なお、今回より掣圏真陰流の戦い方を徹底させ るべく、試合前の礼に先立ち、小方主審より「出来るだけ早く、相手を制圧せよ」「礼儀正しく、勇気を以て戦え」「打投極を回転させよ」等々、言葉が発せら れた (次回より「出来る だけ早く、相手を制圧し、止めを刺せ」としたい)。 また、次回より、相手を打倒した場合、主審は「打倒」と宣告し、試合を止めに掛かっている事を選手並びに副審に予告したい。さらに、相手を抑え込み、打 撃を振る う、または関節を極めに掛かっている場合、主審は「制圧」と宣告し、試合を停めるのを若干遅らせ、止めを刺す、とりわけ関節技、絞め技を仕掛ける事を奨励 したい。これで主審は試合中、「始め」「待て」「一本」「それまで」の他、「打倒」「制圧」と宣告する事になろう。また、「打倒」「制圧」宣告を判定に反 映させる事が出来よう。以 上を審判団、審判長評定、評議会、興義館で議論 し、「掣圏真陰流御成敗式目」と「試合出場選手に対する注意」に反映させたい。 ここで、審判長評定の早川評定は諮問に答え、「主審が『打倒』『制圧』と宣告する事で、選手は勿論、観戦する方もより深く戦況を把握出来るのではない か。勝敗に納得する為にも、安全を守る為にも、試合中、審判が出来るだけ号令を発するのが正しいと以前より考えていた。なお、一緒に観戦していた知人によ れば『試合開始前の空気が引き締まって行く様子、独特の緊張感が良かった。その一方、必ずしも全ての選手が様式に沿った立ち居振る舞いが出来ていた訳では なかったのが残念』」との事であった。 また、評議会の大原議長と議論した処、「グラウンドでの優勢は全て『制圧』を宣告すれば良いのではないか。『制圧』は掣圏らしいので是非使いたい。但 し、宣告により選手が試合を諦める事の無い様にしなければならない」との由であった。そこで、10月7日の第4回若虎杯に於ける掣圏真陰流 (普及型規則) 模範試合にて試用したい。 牽制が続く両選手に警告「出来るだけ早く、相手を制圧せよ」 米澤選手が抑え込みからパンチを当てるも止めを刺せず、待てが掛かる。 滝沢選手による打倒、あらぬ角度からパンチが飛んで来る。顎が打ち抜かれているのが解る。その後の詰めが厳しく、勝負あっ た。 ■決勝戦 (7分) 赤高橋良明 (武州)○ 対 青滝沢 充 (上州)× 判定3-0 ※副審・小林 彰:高橋 (グラウンドにおける積極性) 副審・光江一之:高橋 (グラウンドにおける積極性) 主審・小方康至:高橋 (スタンドにおける積極性) (参考) 主審補・高橋 潤:高橋 (スタンドにおける積極性) 【解説】小林副審、光江副審ともに高橋選手の制圧後の加撃並 びにグラウンドにある相手を持ち上げ、床に叩き付ける攻撃をグラウンドにおける積極性と評価した。但し、光江副審は、滝沢選手の的確なパンチも評価してお り、単発でなければ逆に付けていたとの由であった。小方主審も滝沢選手の強いロー・キックは評価したものの、高橋選手の投げ、倒しをより評価した。なお、 高橋選手の制圧後の加撃は、相手の後頭部や腎臓近くに当たった為、評価を相殺した (待てを掛けた後、警告を与えた)。参考までに高橋主審補も高橋選手の投げ、倒しを評価した。 【備考】大会翌日、渡部館長より、試合中、闘争心が感じられ なかったという滝沢選手に対し、大会役員席から言葉を極めて叱咤した事に対する遺憾の意が表明された。渡部館長は滝沢選手の師であるので、叱咤自体は不適 切とは思わないが、その場合は自陣 (コーナー) にて行う事が望ましい旨、伝えた。渡部館長は「(上杉謙信公の軍奉行にして川中島の戦いでは謙信公より感状を賜った) 先祖の名に恥じぬ様、館長として己を戒め精進して行く所存」との由であった。 また、今回、前回の反省に基づき、牽制 が続いた場合、一旦 試合を停め、「出来るだけ早く、相手を制圧せよ」等々、警告を与えたが、今後は更に注意も与え、最終的には失格も已む無しとする事を大会総取締である渡部 館長と話し合った (今後、この件について審判団、審判長評定、評議会で議論する積もりである)。さらに、かつて佐山創始が消極的な試合を行う両選手に対し、試合中、「没収 試合にするぞ」と警告された故事に倣い、大会総取締の判断で両者失格とされる様、意見具申した。 さらに今回、セコンド (介添人) にも礼儀を求めたものの、不徹底であった (服装、試合前の礼、太刀の取り扱い等々)。例えば、リングを降りた選手から太刀を受け取ってしまったセコンドがいたが、試合中以外、選手は常に帯刀する ものであ る。何 故ならば武士だからである。また、太刀は両手で頭 (こうべ) を垂れて捧げ持つべきものである。何故ならば「刀は武士の魂」だからである。さらに、リングは神聖にして清浄 な場ゆえ、少なくともリングに立つ事のあるチーフ・セコンドは正装で着陣したい。そこで、次回からは「セコンド (介添人) に対する注意」を徹底させたい。 今回はゴッ チ先生追悼大会にちなみ、決勝戦に於ける試合前の礼は「正面並びに佐山創始、ゴッチ先生に礼」とした。 試合前の礼「正面、並びに佐山創始、ゴッチ先生に礼」 高橋選手の投げ、相手を十分に腰に載せている。 高橋選手の倒し、十分にグリップし、足を掛けての浴びせ倒し。 滝沢選手の右オーバー・ハンド、相手もオン・ガードで防ぐ。 牽制を続ける両選手に警告「互いに攻める様に」 高橋選手の再三の投げ、これ程「打投極」の「投」が生かされた闘いは記憶に無い。 高橋選手の制圧後の加撃、良く拳を当てていた。単なる連打よりも一発一発を効かせた打ち方の方が一本を呼び込む。 滝沢選手のパンチと高橋選手の膝蹴りが相打ち、両選手ともに勇気が見て取れる。 主審判定、赤、木札を掲げる。 試合後の礼『互いに礼」は帯刀して。 表彰式に於ける太刀返上 ※写真は
全てビデオ判定用の審判団ビデオからのスナップ・ショット (撮影・ 早川英介 (掣圏真陰流審判団審判長評定))
※※写真・文 小方審判長 |
掣圏真陰流 (普及型規則) 模範試合 2007年6月24日 (日) 愛知県半田市・青山記念武道館 スーパータイガージム東海・格闘塾主催第5回格闘塾杯 ■第16試合 掣圏真陰流 (普及型規則) 模範試合 (3分) 赤高嶋俊成 (尾張) 対 青菅田清仁 (三河) (参考) 判定3-0 ※副審・光江一之:高嶋 (スタンドにおける積極性) 副審・大原友則 (掣圏真陰流評議会):高嶋 (打撃並びに投げによるダメージ) 主審・小方康至:高嶋 (投げによるダメージ) 【解説】大原副審、小方主審共に高嶋選手の二度の首投げを 「投げによるダメージ」と評価、他にも大原副審は高嶋選手のパンチを「打撃によるダメージ」と評価したのに対し、光江副審はこれらをいずれもダメージを与 えるには至らなかったと判断、勝因を「スタンドにおける積極性」に留めた。なお、この試合は模範試合として行われたため、勝敗は参考記録となった。 【備考】 この試合は「掣圏真陰流大会地方予選」と銘打たれ、大原友則 (掣圏真陰流評議会議長) が会長を務める「中日本総合格闘技協会」からの掣圏真陰流大会への選手推薦の判断材料となった。試合規則は仮に「普及型規則」と名付けられたが、公式規則 との違いは以下の通りである。 一、主催者が用意した兜 (ヘッド・ギア)、任意の膝当て (ニー・パッド) 、脛当て (シン・ガード) を着用、掣圏篭手 (グローブ) は公式戦用とする。 一、着衣は、上は任意の胴着 (高嶋選手は少林寺拳法用、菅田選手は柔道用)、下は公式戦用の掣圏袴とする。 一、試合時間は出来るだけ早く相手を制圧する事、最初から全力で戦う事を目指し、3分間とする。 一、グラウンドに於ける打撃は禁じるが、掣圏の闘い方を変えぬ様、「寸止め」を認め、それを判定材料に加える。但し、いわゆる「決め」の様な強い打ち方は 評価するが、漫然とした単なる連打は評価しない (その後、関節技に移行しない場合、「待て」を掛ける)。 なお、一試合のみではあったが、「武てい式」を行い、赤、青の陣地 (コーナー) を決めた。赤の選手には五郎入道正宗、青の選手には長曾禰虎徹の模造刀が与えられた。また、今回より新しい試みとして、赤、青を見分ける為、戦いに臨む武 士の装い「股立ちを取り襷を掛ける」に倣い、(胴着は筒袖ではあるが) 色帯の襷掛けとした。 |
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高嶋選手 | 菅田選手 |
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試合前の礼 |
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けん制し合う両選手 |
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高
嶋選手 (赤) のロー・キックを掴んでの菅田選手 (青) のカウンターの左ストレート、続いてのタックル |
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その菅田選手のタックルを受け
流しての高嶋選手のカウンターの首投げ |
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菅田選手のスウィング・フック ※写真は全てビデオ判定用の審判団ビデオからのスナップ・
ショット (撮影・加藤秀朋 (スーパータイガージム三島しらせ))
※※写真・文 小方審判長 |
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格闘塾杯ではプリ・シューティングも行われた (技能賞を受賞した加藤選手 (青) の対戦相手のロー・キックを掴んでの胴タックル) (加藤秀朋 (スーパータイガージム三島しらせ) 対桜木敬三 (無所属) 戦) ※写真は全てビデオ判定用の審判団ビデオからのスナップ・ショット (撮影・ 光江一之 (掣圏真陰流審判団)) ※※写真・文 小方審判長 |
第11回掣圏真陰流大会・三つ巴戦 2007年6月8日 (金) 東京水道橋・後楽園ホール 参加選手 第7回大会準優勝者 佐藤大希 (駿河) 第6回・第9回大会準優勝者 加藤 誠 (陸奥) 第3回・第7回・第9回大会優勝者 滝沢 充 (上州) 試合組み合わせ 第一試合赤 加藤 誠 第一試合青 滝沢 充 第二試合 佐藤大希 ※試合前の「武てい (示へんに帝) 式」におけるくじ引きによる (主催者の意向を排し、公正を期す為)。なお、くじ引きの順番は、入賞経験の少ない順に、佐藤、加藤、滝沢とした。 試合順 第一試合 加藤 対 滝沢 第二試合 加藤滝沢戦の勝者 対 佐藤 第三試合 佐藤 対 加藤滝沢戦の敗者 試合方式 一、初戦で一本負けした者は失格とし、その者の次戦は取り 止めとする。 一、第一試合の勝者が第二試合にも勝ち、早くも優勝を決め た場合も第三試合を行い、順位を決定する。 一、一勝を挙げていない者は準優勝者とはならない。 一、三者とも一勝一敗の場合、いわゆる「三すくみ」の場合 は、最終試合において一本勝ちした選手、または判定においてより良い内容で勝った者を優勝者とする。すなわち「打撃によるダメージ」、次いで「投げによる ダメージ」、最後に「極めによるダメージ」票を数多く獲得した者を優勝とする。 結果 優勝 滝沢 充 二勝 加藤 誠 一敗 佐藤大希 失格 (一本負け) ※準優勝なし ■第1試合 (5分) 赤加藤 誠× 対 青滝沢 充○ 判定2-0 ※副審・小林 彰:滝沢 (スタンドにおける積極性) 副審・光江一之:滝沢 (スタンドにおける積極性) (参考) 主審・小方康至:滝沢 (スタンドにおける積極性) 【解説】小林副審、光江副審ともに滝沢選手の的確なパンチ を評価、滝沢選手の判定勝ちとなった。副審二名が滝沢選手を支持したため、小方主審の判定は参考記録となったが、小方主審は滝沢選手の対戦相手左膝横への 強いロー・キックを評価した。ここで、パンチ、ロー・キックとも相手にダメージを与えたと推察できたものの、「打撃によるダメージ」とはノック・ダウン、 グロッキー、カット、制圧後の加撃などを言う為、「打撃によるダメージ」とはならず「スタンドにおける積極性」に留まった。 【備考】試合中、試合立会人の田中健一 (掣圏真陰流評議会会長) より、互いにもっと攻める様、両選手に注意を促すべきであるとの提言がなされたが、確かに両選手は打ち合いに終始したものの決して消極的な試合態度であっ た訳ではなく、気迫あふれ勇敢な闘い様であった為、両選手の試合への集中を妨げない様、小方主審は試合を停めず、注意も与えなかった。とは謂え、選手も掣 圏の理想である、出来るだけ早く相手を制圧する、を体現すべく、今後は戦い方を工夫してもらいたい。勿論、主審も消極的な試合態度の場合は「互いにもっと 攻める様に」と注意を促し、打ち合いが長く続いた場合は試合を一旦停め「出来るだけ早く相手を制圧する様に」と指導すべきである。 ■第2試合 (5分) 赤佐藤大希× 対 青滝沢 充○ 一本 (2分8秒) ※制圧後の加撃 ※※二勝した滝沢の優勝 【解説】滝沢選手が対戦相手を倒した後、パンチを連打した が、ロープ際での 事で、相手の上半身がロープの外に出、また滝沢選手も攻めあぐねた為、一旦試合を停め、中央から試合を再開させたが、再び同じ展開となり、試合が一方的と なった為、佐藤選手の健康と安全に配慮し、試合を止めた。 【備考】試合中、佐藤選手の上半身がロープの外に出たが、これは佐藤選手の防御、滝沢選手の圧力による偶発的なものであると判断、佐藤選手を逃避による失 格とはしなかった (その際、佐藤選手がグローブが外れた旨、訴えたが、それを受け入れて「待て」を掛けたのではない)。試合中の選手からの訴えに基づき、主審は直ちにその 内容を確認する事としているが、その訴えが逃避を目的とした ものであってはならない。 ■第3試合 (5分) 赤加藤 誠 対 青佐藤大希 取り止め ※佐藤の一本負けによる失格 【解説】「初戦で一本負けした者は失格とし、その者の 次戦は取り止めとする」との試合方式に従い、試合は取り止めとなった。 【備考】第2試合後、試合立会人の田中健一 (掣圏真陰流評議会会長) 及び大原友則 (掣圏真陰流評議会議長) が佐藤選手にダメージを確認の上、次戦の意志確認を行い、試合方式に特例を求め、試合を行う様、大会総取締の渡部優一 (掣圏真陰流興義館館長) 並びに小方審判長に提案したが、渡部館長はこの一本負けがノック・アウトでは無くレフェリー・ストップによるものである為、提案を受け入れたものの、小方 審判長は一本負けは謂わば「討ち死」を意味するので次戦はあり得ない事、また仮に次戦を認め、その試合で事故が起こった場合、初戦での一本負けにその原因 を帰せられる事を理由に提案を受け入れなかった。医師2名の示唆は「佐藤選手は打たれ過ぎている」「試合が終わったばかりの選手は興奮しており、とかく試合が出来ると言うもの」との事 であった。小林筆頭副審は「事後にルールを変えてはならない」、光江副審は「選手の健康と安全に配慮したルールは、早計に変えるべきではない」との意見で あった。 【考察】今大会より、掣圏篭手 (グローブ) は、公正を期す為、リング入場時に副審立ち合いの下で着ける事としたが、選手の入念なグローブ着用の為、思いのほか時間が掛かったので、次回からは、リン グ下において、副審立ち合いの下、セコンド二名にグローブを着けさせる事としたい。また今大会より、判定など試合の裁定に対する試合立会人からの異議申し 立てを受け付け、その場で審議する事としたが、その他、試合立会人には試合態度や反則など選手に直接注意を喚起してもらいたい。さらに今大会より、着衣は 「現代武士道」掣圏真陰流の「現代性」を表すこれまでの「スーツ型」の胴着に代わり、「伝統性」を表す「武士の装い」とし、袴は足さばきを良くする為、い わゆる 「股立ちを取る」様にしたが、試合後、和装に詳しい方からの示唆により、次回からは、股立ちは外側から (上方から) 帯に挟み込むのではなく、内側から (下方から) 帯に挟み込み、袴の膨らみを抑え、さらに動き易くする事としたい。 |
武てい式 (くじ引き) |
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武てい式 (賜太刀) |
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帯刀 (和泉守兼定) して入場して来る加藤選手
(第1試合・加藤対滝沢戦) |
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光江副審立ち合いの下で入念に掣圏籠手を装着する滝沢選手 |
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帯刀 (長曾禰虎徹)
してリング・イン、対戦相手を見据える滝沢選手 |
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互いに礼 |
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袖口を掴む滝沢選手 (手前)、それを切る加藤選手 (奥) |
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滝沢選手のカウンターの右オーバー・ハンドが加藤選手を襲う |
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加藤選手もスウェー、滝沢選手は目線を切らない |
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加藤選手の飛び膝蹴りがすんでの所で滝沢選手にヒット |
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再三にわたる滝沢選手の右オーバー・ハンド |
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佐藤選手 (手前)
の左ストレートをヘッド・スリップ、オン・ガードしながらの滝沢選手 (奥) の胴タックル (第2試合・佐藤対滝沢戦)
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しっかりグリップして持ち上げ、叩き落とす |
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佐藤選手の左ミドル・キック |
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佐藤選手の首投げを潰す滝沢選手 |
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滝沢選手の強いパンチがレフェリー・ストップを呼び込む |
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佐藤選手のダメージを確認する大原立会人
※写真は全てビデオ判定用の審判団ビデオからのスナップ・
ショット (撮影・清水 裕 (掣圏真陰流審判団審判長評定))
※※写真・文 小方審判長 |
第10回掣圏真陰流トーナメント 2007年3月7日 (水) 東京水道橋・後楽園ホール ■1回戦第1試合 (5分) ○齋藤裕樹 対 ×岡本 悟 一本 (2分18秒) ※制圧後の加撃 【解説】齋藤選手がマウントポジションからパンチを連打、 これを岡本選手が防御しなかった為、小方主審が試合を止めた。 ■1回戦第2試合 (5分) ○花村 彰 対 ×田村拡千 判定2-0 ※副審・小林 彰:花村 (投げによるダメージ) 副審・光江一之:花村 (打撃によるダメージ) (参考) 主審・小方康至:花村 (グラウンドにおける攻撃性) 【解説】小林副審は花村選手による相手を頭からマットに落とす投げを相手にダメージを与えたと評価し、一方、光江副審は花村選手のグラウンドにおけるパン チをやはり相手にダメージを与えたと評価、花村選手の判定勝ちとなった (副審2名が花村選手を支持した為、小方主審の判定は参考記録となったが、小方主審は花村選手のテイクダウン、ポジショニング及びグラウンドにおけるパン チを田村選手のスタンド・レスリングよりも攻撃的であると評価した)。 ■決勝戦 (7分) ○花村 彰 対 ×齋藤裕樹 判定2-0 ※副審・小林 彰:花村 (打撃によるダメージ) 副審・光江一之:花村 (スタンドにおける攻撃性) (参考) 主審・小方康至:花村 (スタンドにおける攻撃性) 【解説】小林副審は花村選手のスタンドにおけるパンチを相手にダメージを与えたと評価したのに対し、光江副審はこれをダメージを与えるまでには至らないも のの攻撃的であると評価、花村選手の判定勝ちとなった (副審2名が花村選手を支持した為、小方主審の判定は参考記録となったが、小方主審は花村選手のスタンドにおけるパンチを齋藤選手のテイクダウン及びスタ ンドやグラウンドにおけるパンチよりも攻撃的であると評価した)。 |